アラスカ、フェアバンクスで暮らす、親分とその子分達(キヨシ君:夫、サブ子:娘、栄作:息子、そして飼い犬 Maxine) の日常を綴ります。
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Posted by 親分
 
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いったい、何語???
英語をさっぱり話せない、理解できない、という70代のおじいさんを受け持ちました。消化管出血で入院されてきた患者さんです。ベッドサイドには付添いさんも通訳も誰もいません。

「Russianっぽい。」と皆が言うので、電話を通じての通訳サービスにコンタクトを取り、「受持ち患者さんにいくつか質問があるので通訳をお願いします」とロシア語通訳をリクエスト。「私が~~さんの今日のナースです。とりあえず、今痛みはありますか?まだ下血していますか?嘔気、嘔吐はありますか?とロシア語で聞いてみてください。」と通訳さんにお願いし、受話器を患者さんに渡します。

ところが。患者さんは何やら二言三言喋った後、「お手上げ」というジェスチャーで受話器を私につき返してきました。ロシア語ではなかったようです。(笑)通訳さんが「(患者さんの喋っていた言葉が)Polishっぽい。」と言うので、今度はポーランド語通訳をリクエスト。

しかしこれもまた同じ結果に。患者さんは「違う」という様に顔を横に振っています。ポーランド語通訳さんに、「ロシア語でもない、ポーランド語でもない、といったらいったい何語でしょう?」と聞いてみたところ、「Ukrainianをトライしてみたら?」と言います。

もうこうなったら片っ端からいろんな言語の通訳を当たってみるしかない!と今度はウクライナ語通訳をリクエストです。(笑)ところが・・・。患者さんはまた受話器を耳に当てながら二言三言同じことを言って、首を横に振るばかり・・・。「これも違うのか。」とがっかりしながら電話に代り、「ウクライナ語でもないみたいですね。」と言うと・・・。なんと、通訳さん、「ナース、患者さんの喋っている言葉はまぎれもなくウクライナ語ですよ。『いったいどうなってるんだ。何が起こってるんだ。』ってウクライナ語で繰り返してます。でも私の言うことはなぜかさっぱりわからないようですが。」と。

実は。患者さん、極度に耳が遠かったみたいなんです。(笑)通訳さんに、「どうやら患者さん、極度の難聴みたいですよ!できるだけ大きな声でしゃべってみてくださいませんか?」とお願いし、またトライしてもらったのですが、患者さんは受話器を通じての聞き取りが特に苦手な様子。もう、どうすればいいんだ!!!せっかく患者さんの喋っている言語がわかったというのに!

そこで私が取った行動とは。通訳さんに「痛みはありますか?痛いですか?ってウクライナ語でなんて言うんですか?」と自分で聞いて「ほにゃららほにゃららです!」と教えてもらい、それを患者さんに向かって直に「ほにゃららほにゃらら!」と真似して自分で言う、(しかも痛そうな顔をしながら。)という無茶な作戦でした。(爆)これがねぇ~。周りで見ている分にはかな~りマヌケな感じだったんですけれども。

最初は「は?あんた、なに言ってんの?」って目でそんな私をじーっと見つめていた患者さんでしたが、突然頭の上に電球がピカッ!という感じで、「おお!まだ痛いか?って聞いてるのか?うん、うん、痛いよ!ここ!」(←たぶんこういうこと。笑。)と左の下腹部を指差し、痛い顔を作りました。お~!通じてるよ~!!

私は電話の向こうの通訳さんに向かい、興奮気味に「通訳さん、通じてるみたいです!」通訳さんはそんな私を「ナース、お上手!その調子!」とおだてます。「じゃぁ、『下血はしてますか?』ってウクライナ語では何と言うんですか?」この私の質問に対する通訳さんの答えがまた舌噛みそうになるぐらい難しいんで、私は「そ、それはいくらなんでも無理だろ!」と一瞬受話器を床に叩き付けたい衝動に狩られました。でも目の前には真剣なまなざしで私の質問を待っている患者さんの顔があります。もう、こうなったらダメ元だ!と思いつつ、その舌噛みそうになるようなセンテンスを何度も何度も繰り返しました。今度はお尻から何か(血のつもり)が出てるゼスチャー付きです。(爆)

そしてこれもとうとう通じたのです。こんな感じで目の前の患者さんと電話の向こうの通訳さんとの間で汗をかきかき、延々時間をかけてこなした問診。いや~、ほんっとうに大変でした。

私が通訳さんとの電話を切った後、患者さんは笑顔で私の手を握り、「スパシーバ!」と言いました。これなら私もわかります。「ありがとう」ってことですよね?あれ、でもこれってロシア語?もう、何語でもいいや。

言葉の通じない国で病気になるということがどれだけ心細いことか・・・。もし自分の親や祖父母がアラスカにきて病気になったときのことを考えると、こういう患者さんのことが他人事とは思えないんですよね。その後元気になって退院されていったこの患者さんですが、お互い「スパシーバ!」と言ってお別れしました。お大事に、ってなんて言ったらいいか、わからなかったので。(笑)
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Posted by 親分
comment:12   trackback:0
[ナースのお仕事
comment
ウルウル
読んでてなんだかウルウルしちゃいました。本当英語が通じなくて何度もげっそり冷や汗顔真っ赤なんてことがありますが・・それ以上にこの患者さんは心細かったと思いますよー。天職ですね、親分さんにとって看護士って。 わたしも万が一入院する事になったら親分さんにみてもらいたいわ。   ちなみに本を紹介したのはわたしではありません・・・英語の本だなんて、子供の宿題見るのにも精一杯なんです。でもいつか読んでみたいです。
サブ子ちゃんギャラリーいいですね~。またナイスショット楽しみにしています!!
2006/04/30 20:21 | | edit posted by coco
素敵なお話
本当に、cocoさんと同じく、読んでいてはらはらどきどきうるうるでした。
病で弱っているときは精神的にも弱ってしまうもの。そんな時に親分さんのようなナースに出会えたら、本当に嬉しいのだろうなぁと思います。

カナダに比べると、アメリカでは移民になったら「アメリカ人であること」「英語を話せること」を要求する国だという印象を受けます。(最近の国歌のスペイン語?だったかな?バージョンに対するブッシュさんのコメントも、そういう意識が色濃くでている気が…)
親分さんのように、言葉が通じない国で病気になることへの不安な気持ちをここまで理解してくれる看護士さんって貴重だと思います。

私も医療用語になると???になっちゃうので不安だなぁ…。どうして医療関係の単語はあんなに長いんでしょうか!?もはや英語に聞こえなくなっちゃうことも。(汗
2006/05/01 03:45 | | edit posted by yoko
親分さん素敵だ!トライしてる姿が目に浮かびます!!
私なんか英語も駄目だから、かなりこちらでの生活苦労ですwww
でも、「スパシーバ!」って言われた瞬間、私だったらきっと何かを勘違いして「スバラシィー!」と勘違いしてると思いましたwwww
2006/05/01 10:04 | | edit posted by Mr
親分さん、素敵!!すごい面白いエピソードにまたまた笑わせていただきました。もう素敵すぎです。あぁ、親分さんの下血のジェスチャー見たかったなぁ・・・。誰かビデオ撮っていたらいいのに。
2006/05/01 20:47 | | edit posted by くま
ジェスチャー
おつかれさま~~~。
すごいナース精神ですね!

くまさんと同じく、下血のジャスチャー気になります。
色々頭の中で「下血のポーズ」をイメージしております。

私をはじめ、家族が病気になったら、親分さんのようなナースの担当になってもらいたい...
2006/05/01 22:31 | | edit posted by Nango
cocoさん>
具合が悪い時ってそれでなくても気が弱っちゃうものですよね。言葉がわからないところで入院、なんてことになったらそれこそ本当に心細くなっちゃいますよね。でも言葉がわからないから、という理由だけできちんと訴えを聞いてもらえなかったり、説明を受けられなかったりするというのは間違っていると思うんです。
そうでしたか、あのココさんとは別人のcocoさんでしたか、失礼しました!

Yokoさん>
スペイン語しか喋れない、とか韓国語しか喋れない、とかいう患者さんはよくいらっしゃるのですが、ウクライナ語しか喋れない、という患者さんは初めてだったのでうちのスタッフも皆どうしてよいかわからなかったみたいで・・・。ちょうど人手不足で病棟がめちゃくちゃ忙しい時期に入院されてきた患者さんだったこともあって、患者さんへの問診やテストの説明がおざなりになっていたみたいなんですよね・・・。どんなにか不安だったことだろうと思います。
Yokoさんのおっしゃるように、アメリカでは「英語が喋れないんだって。」「じゃぁ仕方ないね。」とさらっと言えてしまうような環境が残念ながらあると思います。英語が喋れない患者さんでもきちんとした医療、看護、インフォームドコンセントを受ける権利は変わらないはずなんですが。
移民の国、カナダはやっぱり対応も違うんでしょうねぇ・・・。アメリカも見習わなくては。。。


Mrさん>
スバラシィー、か。(笑)なんで日本語知ってんだよ、って話になりますよね。(爆)いや、それはそれで助かるんですけど。

くまさん>
下血のジェスチャー、そんなに見たかったですか?たいしたことないんですけれども・・・。(笑)相変わらずバカなことやってます、職場で・・・。本人は真剣なんですけどね。

Nangoさん>
今度会ったら教えて差し上げますよ、下血のジャスチャー。(←絶対一生使わないと思うけど。)具合が悪くなったら、うちの病院へ。っていうかフェアバンクスだとうちの病院以外に入院できる所がないから必然的にうちだよ。(笑)私を指名していただければ、喜んで担当させていただきます。(爆)
2006/05/02 19:05 | | edit posted by 親分
親分さんのプロ意識に感動です!

少し違うかもしれませんが、私は仕事上ダウン症で言葉が話せない子供と接することがあり、そのことを思い出しました。
やはり、何より大事なのは、理解し合おうという気持ちですよね。

親分さんの、患者さんを理解しようとする気持ちが、相手の方にもきちんと伝わったのだと思いますよ。
2006/05/02 19:11 | | edit posted by るびい改めルティカ
P.S.
私も入院となるとフェアバンクスになるはずなので、その時は親分さんに担当お願いします!
2006/05/02 19:14 | | edit posted by ルティカ
ルティカさん>
大切なのは、理解しあおうという気持ち。全くその通りだと思います。

ルティカさんの住んでいらっしゃる村からも患者さんよく入院してきますよ。健康が一番ですが、万が一具合が悪くなって入院するようなことになったらどうぞ私を指名してやってください。(笑)
2006/05/02 20:35 | | edit posted by 親分
どうも。介護士として就職した沙良、改め いのりです。
まだ四苦八苦しながらやってますがエンジョイしてますよ。

言葉の通じないところで一人でいるのってすごい寂しいと思います。特に男性なら尚更。結構女性のほうが開き直って自分で痛いとか身振り手振りで教えてくれそうだし、昨日お店に来た日本人旅行者のおばさんも普通に日本語話してました(私が日本人だと知らないで)
でも親分さんの下血のジェスチャーを想像しながら友人がおならのジェスチャーをしたことを思い出し、笑ってしまいました。でもそうやって一生懸命接するから患者さんも安心できるわけで、きっと患者さんも「素晴らしいナースにあった!!」って思ってると思いますよ!!
2006/05/03 13:51 | | edit posted by 沙良 改め いのり
大変ですねえ。
特に忙しいときにこういうことが起こると、、。後では良い思い出話になるんですがねえ。

私が一番困ったのは、話す言葉はボスニア語だとわかっていたのですが、病歴に痴呆症だけでなく、精神分裂症ともあり、途方に暮れたことがあります。ボスニア語の通訳の人が電話で、「この人の話は理解できないし、私の話も理解してもらえないから、どうしようもない」と言われました。もう何で入院してたのかも全然覚えてませんが、困ったっていうことは今でも覚えています。

いつも仕事の話を読ませてもらって、親分さん楽しんでやってるんだなって思います。一緒にお仕事してみたいです!
2006/05/03 20:19 | | edit posted by ちび
いのりさん>
就職、おめでとうございます!とうとう念願のお仕事に~。ぜひぜひがんばってくださいね。私も相変わらず成長してませんが自分なりに精一杯がんばってるつもり・・・。(笑)

ちびさん>
うわ~、それも大変~・・・。(苦笑)そうそう、忙しい時に限ってこういう患者さん入ってくるんですよねぇ~。私が一生懸命下血のジェスチャーしながら通訳がんばってる間も、実は私の他の受持ち患者さん達はほったらかしだったわけで。(爆)そのへん、難しいところです。
でもやっぱりナースのお仕事って面白いですよね!ほんと、ちびさんとも一緒に働いてみたいものです~!
2006/05/03 21:33 | | edit posted by 親分
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